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2025年、ビジネスの効率化や競争力向上のために、受注管理の最適化は企業にとって欠かせないテーマです。特に、受注管理システムは業務プロセスの標準化や自動化、ミス削減、顧客満足度の向上など、さまざまなメリットをもたらします。本記事では、受注管理の基本から業務内容、システム導入ステップ、導入メリットまで、最新情報をもとにわかりやすく解説します。
カバーする範囲が違います。受注管理システムは受注登録・在庫引当・出荷・請求を扱い、販売管理システムはこれに加えて仕入・売上・債権管理まで含みます。基幹システム(ERP)は販売・生産・会計・人事など全社の業務を対象とし、その販売管理の中に受注管理が含まれます。一方、BtoB ECやWeb受発注システムは取引先が自分で注文を入力する「受注の入口」を担う仕組みで、役割が異なります。ただし製品によって守備範囲は異なり、BtoB ECの中には受注状況の管理や見積、承認設定といった受注管理領域の機能を持つものもあります。
受注チャネルによります。電話やFAXで注文が届く場合、システムを入れても担当者が内容を入力する工程は残るため、入力先がExcelからシステムに変わるだけになります。メールで受注していても、本文や添付された注文書を見ながら入力する運用なら同じです。転記そのものをなくすには、取引先が自分で注文データを入力する仕組みにするか、OCRや音声認識で入力を支援するかのいずれかが必要です。
よくある原因は3つあります。受注チャネルが電話・FAXのままで入力工程が残っている、受注管理システムと基幹システムが連携しておらず二重入力が発生している、取引先ごとの特別単価や都度の納期調整といった例外処理が業務の大半を占めている、の3点です。東京商工会議所が2026年3月〜4月に実施した調査でも、業務プロセス全体の見直しを行っていない企業では53.6%が「成果を測定できていない/分からない」と回答しており、全社横断的に見直しを行った企業の9.0%と大きな差があります。
東京商工会議所が2024年10月〜11月に実施した調査では、メール・ホームページ等オンラインでの受発注が48.8%、電話・FAXによる受発注が24.6%、EDIによる受発注システムの導入が13.6%、ネットショップやオンライン決済の導入が11.4%でした(n=1,002、複数回答)。ただしこの集計には、デジタル化が最も遅れている「レベル1(口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い)」と回答した企業が含まれていないため、中小企業全体を対象とした割合ではありません。なお同調査の最新版(2026年6月公表)では、この設問は実施されていません。
受注管理システムを検討するとき、最初につまずくのが言葉の整理です。販売管理システム、基幹システム(ERP)、BtoB EC、Web受発注システム。どれも受注を扱いますが、守備範囲は違います。ここを曖昧にしたまま比較を始めると、機能表の突き合わせで終わってしまいます。
この記事では、受注管理システムの定義と隣接システムとの違いから、業務の流れ、受注チャネル別にどこまでカバーできるのか、そして「導入したのに工数が減らない」ケースの原因までを扱います。
受注管理システムは、顧客からの注文を受け付けてから、在庫の引き当て、出荷、請求までの一連の業務を一元管理するソフトウェアです。販売管理の中核にあたる機能で、BtoB・BtoCのどちらにも使われます。
製品によって差はありますが、おおむね次の機能を備えています。
■注文受付と処理
注文を受け付け、受注データとして登録します。
■在庫管理・引当
在庫状況を把握し、受注に対して在庫を引き当てます。
■出荷管理
出荷指示を出し、出荷状況を追跡します。
■請求書発行
出荷実績に基づいて請求書を作成します。
■見積・契約管理
BtoB取引では、注文前の見積作成や契約書の管理にも対応します。
受注管理システムを検討していると、必ず隣接するシステム名が出てきます。それぞれ主目的は異なりますが、機能領域には重なりがあります。単純に優劣で選ぶものではありません。
| システム | カバー範囲 | 受注管理との関係 |
| 受注管理システム | 受注登録・在庫引当・出荷・請求 | ― |
| 販売管理システム | 受注管理に加え、仕入・売上・債権管理まで | 受注管理を内包することが多い |
| 基幹システム(ERP) | 販売・生産・会計・人事など全社の業務 | 販売管理モジュールの中に受注管理を含む |
| BtoB EC/Web受発注 | 取引先が自分で注文を入力する「受注の入口」。製品によっては受注状況の管理や見積、承認設定など受注管理領域の機能も持つ | 受注を発生させる側。受注管理システムや基幹システムと連携して使う |
判断のポイントは、「注文がどこから入ってくるか」と「入った後をどう処理するか」を分けて考えることです。BtoB ECやWeb受発注システムは主に前者、販売管理システムや基幹システムは主に後者を担います。ただし製品によって守備範囲は異なるため、この区分は考え方の整理であって、製品カテゴリの厳密な線引きではありません。
電話やFAXで届く注文を社内で処理する工数が問題なら後者、取引先からの注文をそもそも電話やFAXで受けない形にしたいなら前者が検討対象です。両方を課題として抱えている企業も多く、その場合は入口と処理の両方を設計する必要があります。
提供形態は大きく2つに分かれます。
■クラウド型
インターネット経由で利用します。初期コストを抑えやすく、機能追加やユーザー数の変更にも対応しやすい形態です。
■オンプレミス型
自社のサーバーに導入します。既存システムとの複雑な連携が必要な場合や、独自の業務要件に合わせて作り込みたい場合に選ばれます。
なお、費用面ではクラウド型が有利とされがちですが、比較すべきは初期費用だけではありません。東京商工会議所が2026年3月〜4月に実施した調査では、直近1年間のデジタルシフト・DXに関わる予算について、新規システム導入に投資した企業が86.9%、既存システムの維持・運営に投資した企業が81.2%でした。どちらも8割を超えており、新規の導入費用と並行して、既存システムを維持していく費用も継続的に発生している実態がうかがえます。
出典:東京商工会議所『中小企業のデジタルシフト・DX実態調査』(2026年6月公表)
受注管理は、注文を受けてから入金を確認するまでの一連の流れです。正確さとスピードの両方が求められる領域で、件数が増えるほど手作業では回らなくなります。
BtoB取引の場合、一例としておおむね次の流れになります。
BtoCと比べたBtoBの特徴は、取引によっては�@�Aの見積・契約管理と、�Bの注文書のやりとりが業務として独立することです。ただしすべての取引がこの流れをたどるわけではありません。基本契約を先に結び、以降は個別の注文だけをやりとりする取引や、見積を挟まない定型的な反復発注もあります。
もう一点、まだ納品していない注文を管理する「受注残」の把握も欠かせません。受注残が見えていないと、売上予測が立たず、納期遅延にも気づけません。
■注文受付と確認
注文情報を正確に記録する工程です。オンラインフォームやAPI等から受け付けた注文データを受注管理システムへ直接連携できれば、転記作業をなくせます。フォームで受け付けても、その内容を人がシステムへ入力する運用では転記は残ります。
■在庫管理と引当
在庫情報を適切に連携・更新することで、在庫状況を把握しながら受注に紐づけられます。引当のタイミングと精度が、欠品と過剰在庫の両方に効いてきます。
■出荷管理と追跡
出荷指示書の生成や配送業者との連携を行います。出荷ミスを減らすほか、取引先からの「いつ届くか」という問い合わせにも答えられるようになります。
■請求書発行
出荷実績に基づいて請求書を作成し、送付します。電子データで授受する場合は、電子帳簿保存法の保存要件を満たす必要があります。
受注管理システムを入れれば受注業務がすべて楽になる、というわけではありません。効果の大きさは、注文がどのチャネルで届くかによって変わります。
東京商工会議所が2024年10月〜11月に中小企業1,218社を対象に実施した調査によると、受発注のデジタルツール活用状況は次のとおりでした。なお同調査の最新版(2026年6月公表)ではこの設問が実施されていないため、受発注チャネルの内訳としては下記が最新の集計となります。
| 受発注の方法 | 割合 |
| メール・ホームページ等オンラインでの受発注 | 48.8% |
| 電話・FAXによる受発注 | 24.6% |
| EDI(電子データ交換)による受発注システムを導入 | 13.6% |
| ネットショップやオンライン決済を導入 | 11.4% |
※n=1,002。デジタルシフトの状況が「レベル1(口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い)」と回答した企業は集計に含まれていません。
出典:東京商工会議所『中小企業のデジタルシフト・DX実態調査』(2024年10〜11月実施、2025年1月公表)
この数字を読むときに押さえておきたい点が2つあります。
1つは集計範囲です。最もデジタル化が遅れている「レベル1(口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い)」の企業は集計に含まれていないため、24.6%は中小企業全体を対象とした割合ではありません。
もう1つは、オンライン化と工数削減が同じではないことです。最多の48.8%は「メール・ホームページ等オンラインでの受発注」ですが、この調査ではその後の処理方法までは聞いていません。メールで受注していても、メール本文や添付された注文書を見ながら受注管理システムへ入力する運用であれば、転記工数は残ります。
| 受注チャネル | 受注管理システムでの扱い | 転記工数を消すには |
| 電話 | 担当者が聞き取ってシステムに入力 | Web受発注等への移行、または音声認識・CTI連携などによる入力支援 |
| FAX | 紙を見ながらシステムに入力 | OCRによる読み取りで入力を減らす、または取引先にWeb受発注へ移行してもらう |
| メール・Excel添付 | 添付ファイルを開いてシステムに入力または取込 | フォーマットを固定してCSV取込、またはWeb受発注へ移行 |
| EDI(システム間連携型) | データとして自動連携 | ―(連携できていれば不要) |
| EDI(Web-EDI) | 画面操作やファイルのダウンロードが残る場合がある | 一括取込機能の活用、またはシステム間連携への移行 |
| BtoB EC/Web受発注 | 取引先が入力したデータを受注データとして扱える | 受注管理システムや基幹システムまで連携する |
この表から見えるのは、受注管理システムを導入しただけでは、電話やFAXで届く注文の入力工程は残るということです。入力先がノートやExcelからシステムに変わっても、人が入力すること自体は変わりません。
入力を減らす方向としては、OCRや音声認識などで入力を支援する方法と、取引先の発注方法そのものを変える方法があります。BtoB ECやWeb受発注システムが検討対象になるのは後者です。
導入したのに期待した効果が出ない、という相談は珍しくありません。よくある原因として、次の3つが挙げられます。
■1. 受注チャネルが電話・FAXのまま
前述のとおりです。システムが受け皿として整っても、そこに人が入力している限り工数は残ります。受注件数が多い企業ほど、この構造的な問題が効いてきます。
■2. 在庫・基幹システムと連携していない
受注管理システムに登録した内容を、基幹システムに再度入力している。あるいは在庫データを別途Excelで管理していて、引当のたびに突き合わせている。この状態では、二重入力の分だけ工数が増えることさえあります。
■3. 例外処理が業務の大半を占めている
取引先ごとの特別単価、都度の納期調整、イレギュラーな出荷指示。標準機能で処理できない取引が多いと、結局は担当者が個別に判断する運用が残ります。導入前に、例外処理が全体の何割を占めるかを把握しておくと、実際に削減できる範囲が見積もれます。
この3点は、システムの機能比較表からは読み取れません。選定前に自社の受注業務を分解して、どこに時間がかかっているかを測っておくことが、導入効果を左右します。
「システムを入れるだけでは足りない」という点は、調査データにも表れています。東京商工会議所が2026年3月〜4月に実施した調査では、デジタルシフト・DXを進めるにあたっての業務プロセス全体の見直し状況と、得られた成果をクロス集計しています。
| 業務プロセスの見直し状況 | 十分な成果が出ている | 成果を測定できていない/分からない |
| 全社横断的に見直しを行っている(n=489) | 23.3% | 9.0% |
| 部門毎に見直しを行っている(n=319) | 6.0% | 15.4% |
| 見直しを行っていない(n=151) | 7.3% | 53.6% |
※n=959。デジタルシフト・DXの状況が「レベル1(口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い)」と回答した企業は集計に含まれていません。
出典:東京商工会議所『中小企業のデジタルシフト・DX実態調査』(2026年6月公表)
目を引くのは右端の列です。業務プロセスの見直しを行っていない企業では、過半数の53.6%が「成果を測定できていない/分からない」と回答しています。全社横断的に見直しを行った企業の9.0%と比べると、大きな開きがあります。
システムを導入しても、業務のやり方を変えないままだと、何がどう良くなったのかを説明できない状態になりやすい、と読めます。同じ調査では業務プロセスの見直しを行っている企業が約84%にのぼっており、ツール選定と並行して業務フロー自体を検討することが前提になりつつあります。
選定基準を考えるうえで参考になるのが、実際に企業が挙げている課題です。東京商工会議所が2026年3月〜4月に中小企業1,272社を対象に実施した調査では、デジタルシフト・DXの課題として次の項目が挙がりました(複数回答)。
| 課題 | 割合 |
| コストが負担できない | 28.3% |
| 旗振り役が務まるような人材がいない | 26.5% |
| 従業員がITを使いこなせない | 26.0% |
| 業務内容に合ったデジタルツール・サービスが見つからない | 21.4% |
| 導入の効果が分からない、評価できない | 20.8% |
※n=1,272、複数回答
出典:東京商工会議所『中小企業のデジタルシフト・DX実態調査』(2026年6月公表)
上位はコストと人材ですが、受注管理システムの選定に直接関わるのは4番目と5番目です。約2割の企業が「業務内容に合ったツールが見つからない」「導入の効果が評価できない」と回答しています。機能表を眺めるだけでは判断できない、という状況が数字にも表れています。
ステップ1:現状の課題と要件の整理
現在の受注業務を工程ごとに分解し、どこに時間がかかっているかを測ります。前述の「工数が減らない3つのケース」に自社が当てはまらないかを、この段階で確認しておきます。
前掲の調査では、デジタルシフト・DXに関する計画を「策定している」企業が20.1%、「策定を検討している」企業が43.4%で、あわせて63.5%が計画をもとに検討・着手しています。計画を策定している企業のほうが「十分な成果が出ている」と回答する割合が高い傾向も示されています。
ステップ2:システムの選定
要件に照らして候補を比較します。クラウド型かオンプレミス型か、必要な連携が可能か、例外処理をどこまで吸収できるかを見ます。
ステップ3:ベンダーとの契約
導入スケジュール、サポート体制、費用の内訳を確認して契約します。運用開始後にかかる費用も、この段階で明確にしておきます。
ステップ4:初期設定とカスタマイズ
業務フローに合わせて設定します。何を標準機能で対応し、何をカスタマイズするかの切り分けが重要です。
ステップ5:データ移行
既存の商品マスタ、取引先マスタ、単価情報などを移行します。移行前にデータを整理しておかないと、旧システムの不整合をそのまま引き継ぐことになります。
ステップ6:トレーニングとテスト
関係者への説明とテスト環境での動作確認を行います。実際の受注データを使ったテストで、例外処理が想定どおり動くかを確認します。
ステップ7:本番運用
運用を開始します。取引先を巻き込む形で受注チャネルを変える場合は、並行運用の期間と、旧チャネルをいつ止めるかを事前に決めておきます。
■業務効率化
受注登録から出荷、請求までの流れが一つのシステムでつながれば、工程間で情報を受け渡す手間を減らせます。東京商工会議所の2026年調査でも、デジタルシフト・DXによって得られた成果として「業務効率化(コスト削減、時間短縮、ミス防止など)」を挙げる企業が82.3%と最多で、次いで「業務の見える化」49.6%、「標準化(脱・属人化)」41.5%が続いています。
■ミスの削減
転記が減れば、転記ミスも減ります。ただし前述のとおり、受注チャネルが電話やFAXのままだと入力工程は残るため、効果は限定的です。
■在庫管理の最適化
在庫情報を適切に連携・更新することで在庫状況を把握しやすくなり、欠品や過剰在庫の抑制につなげられます。ただし在庫データの更新や倉庫システムとの連携が伴わなければ、リアルタイムな把握にはなりません。
■問い合わせ対応の削減
注文状況や出荷状況をすぐに確認できるようになります。取引先が自分で状況を確認できる仕組みを併せて用意すれば、「あの注文どうなっていますか」という電話そのものを減らせます。
■ペーパーレス化
注文書や伝票の電子化により、紙と印刷、保管のコストが下がります。
■データ分析
受注データを分析すれば、売上傾向を把握できます。また、在庫や売上原価などのデータと組み合わせることで、在庫回転率といった指標も分析できます。ただし、これは受注管理システムを入れただけで自動的に得られるものではありません。データを見て判断に使う運用まで組んで、はじめて効果が出ます。
出典:東京商工会議所『中小企業のデジタルシフト・DX実態調査』(2026年6月公表)
ここまで見てきたとおり、受注業務の工数を大きく下げる方法のひとつが、「注文がどこから入ってくるか」を変えることです。取引先が入力した注文データを受注管理システムや基幹システムまで連携できれば、受注側での再入力をなくせます。
ecbeingが提供するBtoB EC構築プラットフォーム「ecbeing BtoB」は、この受注の入口を担う製品です。取引先ごとに異なる単価の設定、発注者側の社内承認フロー、見積の発行依頼といったBtoB特有の要件に対応しています。基幹システムとの連携や要件に応じたカスタマイズにより、受注登録から出荷指示までを自動化した事例もあります。

受注管理システムは、注文の受付から在庫引当、出荷、請求までを一元管理する仕組みです。販売管理システムや基幹システムはこれを内包する関係にあり、BtoB ECやWeb受発注システムは「受注の入口」を担うという役割の違いがあります。
導入効果を左右するのは、機能の多さより受注チャネルです。電話やFAXで注文が届く場合、システムを入れても入力工程は人の手に残ります。基幹システムとの連携がなければ二重入力が発生し、例外処理が多ければ担当者の個別判断も残ります。
検討を始めるなら、まず自社の受注業務を工程ごとに分解して、どこに何時間かかっているかを測るところからです。この数字がないと、導入後に効果を評価することもできません。
